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  Le Vin Nature フランス自然派ワインニュース  (9/25 2007)
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[ブドウ栽培・ワイン醸造]
フランク・デゥブルデュ :2007年ヴィンテージのボルドーワインに関して
(2007年 9月14日付)

今年ほど悲惨な夏をについて考えるなら1999年、さらには1997年まで遡らなければならない。
季節としては非常に暑くて素晴らしい天候であった4月に芽生えた希望に満ちたこの
ヴィンテージへの予想(開花は例年より15日も早かった)は、その後の5月から8月で
瞬く間に消え去った。


異常な冷涼さと湿気。貧弱な結実(coulure)、果実の成長の不揃い(millerandage)や
異常に強烈なベト病、水不足によるストレスの不在(ブドウは生長し続けた)は、
夏期休暇から戻ってきた栽培家や醸造家を楽観的にはさせなかった。通常通り、
収穫量を制限したり、グリーンハーベストを行った生産者は、これらの問題に十分上手く
対応できた。


オー・ブリオンでは8月28日に白ワインの収穫を開始した。難問続きの中にあって、
8月27日から高気圧が訪れたことから、ブドウの熟成が加速する期待は高まった。従って、
シャトー・イケムでは、素晴らしく貴腐菌が付着しアルコール度数が25度と予想される
ブドウを9月11日に収穫した。熟すのが早い赤ブドウ品種であるメルローの収穫は
9月17日から始まる。


素晴らしいワイン、もしくは良いワインを造りたいと希望すること可能である。
夏の好ましくない状況に関する噂は、世界中を駆け巡った。もし2007年をみんなが
避けるのであれば、このヴィンテージの良いワインを納得のいく価格で手に入れる
ことができるだろう。1999年や2004年の赤ワインのケースのように。
また、甘口ワインは1997年のように素晴らしいものになるだろう。


Franck Dubourdieu
http://franckdubourdieu.com

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[ブドウ栽培・ワイン醸造]
2007年9月12日
有機栽培者はべと病に対して自信を見せる


ブドウの収穫が近づくにつれ、アキテーヌ地区(Dordogne、Gironde、Landes、
Lot-et-Garonne、Pyrenees−Atlantiquesの5県を含む。中心都市はボルドー)の
有機ブドウ栽培者は、ブドウ畑の状態の良さと2007年の収穫に関して安心できる
状況であることを訴えている。そして、今年の猛烈なべと病が、ワイン生産に
悲惨な結果をもたらすという見解に異議を唱えている。


アキテーヌの有機栽培の組合は「収穫の損失は少ない」と断言する。彼らは、
‘有機栽培の限界’に言及する人々の意見を否定する一方で、大きな問題が
起こっている事はないとしている。夏の間、口の悪いある業界関係者の人たちは、
この地域に220ある有機栽培者は、数多くの植物衛生向け農薬を禁止していることから、
夏の陰鬱の天気により大量に発生したべと病のもっとも深刻な被害者だと断言した。


有機栽培の規則ではボルドー液による抑止対策を、1年間で1ヘクタール辺り
合計6キログラムに制限している。ある栽培家は「今年は、ボルドー液を13から14回撒いた。
通常は7回なのだが。最大の制約は、労働力の必要性だった。休日や日曜日でも
時として必要だった。」と言う。他のブドウ栽培家はこの年を「忙しく、不確実に満ちた年」
と言い、「みんなと同様にモザイク上にべと病が発生している」と認める。しかし、
現在はブドウは満足できる状態にあるという。彼は「有機栽培であっても、対策はある。
畑に出て、予想し、順応し、適したときに対策を図らなければならない」と言う。


べと病は天候が悪いときに、急速に発達するので、対処療法は天候が乾燥しているときに
行わなければならない。ブドウ栽培家への技術者・コンサルタントであるDaniel Noel氏は、
「私のキャリアの中でも、もっとも腐敗が多かった年」というが、彼によれば、
最も大きな間違いをブドウ畑に運んできたものは「ブドウ栽培家の不在」だという。
「有機栽培だろうと、そうではなかろうと、悪いブドウ栽培家は、悪いブドウ栽培家のままだ。
この年に失敗したブドウ栽培家は、畑に足を運ばなかった人たちだ」と断言する。べと病の発生
は強烈だったが、彼がコンサルタントを行っているブドウ栽培家120人の内、20%以上の収穫を
失うものは6人だけだという。


フランスで8000以上の有機栽培農家(その内の80%はブドウ栽培者)に認証を与えている
ECOCERT協会は、化学肥料を用いたことにより認証を放棄したブドウ栽培家はほとんどいなかったと
認めるが、それは当たり前のことであると、言っている。


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[その他・ニュース]
Que Choisirに対するSEVEの反応 :
AOCワイン:SEVEはUFC QUE CHOISIRを支持

(UFC:ユニオン・フェデラル・デ・コンソマター−1951年に発足した消費者団体。
日本における国民消費者団体のようなもの)


近年、消費者や関係団体は、フランスのAOCの質の低下について注意を喚起してきた。
1995年を思い起こすと、Que Choisirは「危機にあるフランスワイン」と題した調査記事を
発表した。そこでQue Choisirはとても理論的な方法で、AOCワインの質と真正さについて
問題を提起した。そのとき、INAOのディレクターであったAlain Bergerはその記事の中で
「今日、AOCの栄光で包まれたひどい製品を市場で見つける。AOCは現在、量では
全フランスワインの半分を占める。これは多すぎだ。今すぐにでも止めなければならない。」


2007年9月3日の公式発表では、UFC-QUE CHOISIRは12年を経て再び同じ質問を繰り返した
「消費者にとって、AOCの略号は信頼できるだろうか?」SEVE(AOCの改定を手に入れる
ために結成されたブドウ栽培家・ワイン醸造家の団体)は、UFC QUE CHOISIRの反応の
大半に賛同している。:《このAOCシステムの信頼性の消失は、AOCシステムの中心に
異なったコストパフォーマンスのワインが共存していることからも理解できる。したがって、
今後、この部分の変革が求められている:一つは、テロワールと強いつながりがあることが
知られていてAOCの本来の目的に沿っているワイン。もう一つは、個性は少ないが新しい
マーケットに対応し、AOCシステム外での発展を担うワインである。この2つのカテゴリーを
2つのAOCシステムで識別することで、消費者の選択に対応することとAOCシステムの伝統を
立て直すことの2つの目的を果たしたい》(UFC Que Choisir)。


Que Choisirの分析は実際に、Rene Renou氏任期中の下、2006年6月2日のINAO委員会での
採決を踏襲している。SEVEは、消費者や評論家、流通業者の意見は、フランスのワイン業界に
君臨している排他主義の壁を突き崩すのに欠かせないと確信している。
(SEVE:2007年9月10日)


参照(フランス語)
≪ SANS INTEGRER RAPIDEMENT LA SEGMENTATIONLA REFORME DES AOC SERA UN ECHEC ≫
Marc Parce
≪ HOLD UP AUX AOC Proposition de bilan de la strategie ethique de J. Capus ≫
Seve sept 2007


≪ LIBERONS LES GOUTS DES VINS ≫ Seve sept 2007
Telechargeables sur :
http://www.thewineblog.net/vin/
http://seve-vignerons.fr
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[健康]
妊娠中にある農薬にさらされた女性は自閉症の子供を出産する高い可能性


バークレー大学の研究機関の研究者グループは、農薬を使っている農業地域近隣
(500メートル以内)に住んでいて、第1週目の妊娠期間に農薬にさらされた女性が、
自閉症などの病気を患った子供を出産する危険が高いのかどうかを研究してきた。


この研究結果は、大変興味深いものである。実際には、dicofolやendosulfanなどの
有機塩素系の農薬に第1週目の妊娠期間中にさらされた女性たちは、農業地域に住んでいない
女性たちに比較して6倍もの高い確率で自閉症の子供を出産する可能性が高いことを証明した。


研究は、危険性は農薬の使用量と、農薬を使用している地域との近さに関係して高くなることを
提示している。同様に、いつ胎児が農薬に触れたかが重要であり、危険性は、胎児の神経が
発達する1週目から8週目が一番高いという。


参考:
Maternal Residence Near Agricultural Pesticide Applications and Autism Spectrum Disorders
Among Children in the California Central Valley Eric M. Roberts, Paul B. English,
Judith K. Grether, Gayle C. Windham, Lucia Somberg, and Craig Wolff


Environmental Health Perspectives. Juillet 2007.

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