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  Le Vin Nature フランス自然派ワインニュース  (3/26 2008)
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[その他]
ワイン輸送に関する考察
イギリスの著名なワイン評論家であるJancis Robinson女史の
ホームページで、ワインの
輸送に関係する興味深い記事(英語)が出ています。


What happens to your wine en route 3/22日付け
(http://www.jancisrobinson.com/articles/20080318_1)
Schildknecht on reefer madness 3/24日付け


3/22付けのJancis Robinson女史の
「What happens to your wine en route
(輸送中のワインに起きること)」では、輸送時の温度コントロールの不備に
よる過去の幾つかの悲惨な出来事の紹介に始まり、輸送時の温度管理に関わる
輸入業者やワイン生産者の様々な取り組みが紹介されています。また、3/24付け
の記事は、Jancis Robinson女史の友達でありオハイオでワイン輸入会社を
営んでいたDavid Schildknecht氏が彼の経験を語った寄稿文です。


ワイン全般(だけでなく、おそらく食物全般に、ですよね?)に言えることですが、
ワインは温度変化に敏感な飲料であり、せっかくの上質なワインも輸送中に
極端な温度にさらされれば、品質が落ちてしまいます。何度からワインは破壊される
かという確実なデータはないそうですが、例えば記事内でJancis Robinson女史は
ワインが高温にさらされると、熟成は加速、色は茶色に変化し、果実香が失われる
という、カリフォルニアのデービス大学の発表などを紹介しています。


この2人は、詳細に経験したことや見聞きしたことを書き記した上で、
Jancis Robinson女史は、ワインの管理に関しては一般的に13度辺りでの
管理、危険なゾーンは24度以上、もしくはマイナス5度以下。ワインごとに
耐性は異なるとした上で、最も温度変化に弱いとされているのは、
ブルゴーニュなど、逆にポートワインはなかなか強いとしています。


また、David Schildknecht氏は、ピノノワールでもシャルドネでも、
またcold stabilization(冷却固定)や濾過をしていないワイン、
つまり世界中で最も興味深いワインを、定温コントロール(リーファーシステム)無し
に輸送することは信じられない、と言い切ります。


ただし、定温コントロール輸送にはコストがかかるのも確か。また、
低価格ワインを好む傾向にある市場はあまり輸送状況を考慮しないのも
現状です。Jancis Robinson女史は、ニュージーランドやカナダやアメリカでは
輸入会社が定温コントロールやそれに近い温度管理システムを強く希望するが、
イギリスではそうではない実情を紹介しています。


翻って日本の輸送体制はどうでしょうか?やはり私自身消費者としては、
しっかり温度管理のしっかりしていると確証があり、蔵元から販売されたもの
と同様のものを日本でも出来る限り飲みたいと思いますし、輸入し販売する
立場としては、しっかり管理しなくてはならないと、特に冬が終わり、
暖かくなってきたこの頃、あらためて思います。


(Jancis Robinson女史のホームページの文章はメンバー制のものと
無料のものがありますが、上記の記事は無料です)

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[環境]
軽量化パッケージの必要性を議論

飲料業界とガラス加工業者は、環境への負担を軽減する為に、ガラス瓶の
重量を軽くする方法を模索している。


Wine and Spirit Trade Association (WSTA)とWRAP
(Waste & Resources Action Programme)が先週にロンドンで開催した
フォーラムでは、ワイン販売業者やワインメーカーが軽量ボトルの
供給状況に対して彼らの意見を述べた。この問題についてワイン業界関係者が
会合を持つのは初めてのこと。


議論は、軽量化ボトルを導入するうえでの弊害に関して集中した。
例えば、イギリスにおける需要と供給、投資の問題についてなど。


まだ、はっきりとした方針は固まっていないが、今後連携を深めていくことで
一致したという。「イギリスワイン業界は、毎年生産する数千トンに及ぶ
パッケージングゴミを減らす必要があるのは明らかだ」と発表した。


参加者は、Constellation Europe, Kingsland Wine & Spirits, Bibendum Wine,
E & J Gallo Europe, Tesco, Sainsburys, Quinn Glass,
Saint Gobain and Ardagh Glass UKなど。


ソース:3/25 decanter.com
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[その他]
醸造学者の鼻に500万ユーロの保険

ロンドンのロイズ保険組合は、ボルドーの著名なワイン醸造家の鼻と嗅覚の
損害に対して、500万ユーロの保険で保障した。


ロイズ保険組合は、巨大企業向けの保険でよく知られているが、同時に ショービジネス向けの保険でも有名である。 (例えば、Fred Astaireの足とかローリングストーンズのギタリストの指などを保障している。) そのロイズ保険組合は、ボルドーのChateau de la Gardeの所有者であり"Tulipe
Wines"の生産者であるIlja Gort氏の鼻は数百万の香気をかぎ分けることが出来、
ワインの質を保証するのに欠かせないものだという評価した。


ロイズ保険組合の担当者は「ブドウ栽培か・ワイン醸造家の鼻と嗅覚は、
料理人の指と同じくらい重要なものである」とコメントしている。

ソース:3/18 ロイター
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