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  Le Vin Nature フランス自然派ワインニュース  (4/25 2008)
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[環境]
ワイン内の残留農薬・続く議論

殺虫剤の使用を反対しているグループが行った調査は、ワインにおける残留農薬の
存在に関して疑問を問いかけている。残留農薬の制限値は、ヨーロッパではブドウに
ついてだけ決められている。ワインに関しては現在、ヨーロッパとブドウとワインの
国際団体(Organisation internationale de la vigne et du vin(OIV))の間に
調和はない。
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反殺虫剤団体Pan Europeは、強力な一撃を加えたかった。この団体による
調査の最終結果は、大きくマスコミに取り上げられた。Pan Europeによれば、
フランスや世界各国の40のワインのうち、有機農法を採用しているもの以外の全ての
ワインで、認可されている最大残留農薬値を超えていないとしても、残留農薬が存在
するというものだった。


Pan Europeは、最大制限値の水準を「水道水に許されている残留農薬よりも、
憂慮すべきと思われるくらい高い」と告発している。これに対して、ブドウとワインの
フランス組織(IFV)は「この報告書の数値を、水道水に決められた0,1 microgramme/Lという
制限値と比較するのはとても難しい。なぜなら、この報告書の数値は、なによりも
限られた分析結果を反映しているだけであり、分子の毒性については考慮していない」と反論した。


<いつ、制限値は設定される?>

IFVは、Pan Europeの実験結果と、IFVが1999年から2001年にかけて行った
研究の結果、そして、もう一つ農業省が1990年から2003年に行った調査結果を比較した。
「全体的に見て、Pan Europeが調べた10種類のフランスワインにおける残留農薬の
含有量は、IFVの研究によって検知された平均よりも少ない。ワイン内で測定された
残留農薬のレベルは少ないものであり、またほとんど分子レベルでは考慮されていない。
Panによって見つけられたワイン内の残留農薬は、ブドウに認められた制限値に比べて
20から5000倍少ないものである」


残留農薬の最大制限値は、現在、ヨーロッパレベルではブドウにだけ決められている。
公正取引委員会では「しかしながら、ヨーロッパの最大制限値は、同様にワインも考慮
していることが予想されている」と明らかにしている。ヨーロッパにおける植物衛生に
関わる製品の認可書類では既に、これらの製品のワインにおける最大制限値、もしくは
ワイン用ブドウからワインへの農薬転移の数値を求めている。OIVで醸造の安全と健康に
関するグループの代表であるJean-Claude Ruf氏は「ヨーロッパレベルで、これらの指標から、
ワインにおける制限値を作成することはより簡単になるだろう」と強調する。


OIVは、この組織のメンバー国のワインにおける限界値の設定について作業を始めていた。
Jean-Claude Ruf氏は「この作業は、まだ成功していない。いまだに、ブドウに存在している
残留農薬がワイン内に平均でどの程度移転するのかの評価に疑問点が存在するからだ。
この移転の具合は一定ではない。80〜90%の分子はワイン内では発見されない。しかしながら
あるタイプのものは100%移転する。」と強調する。


<国際マーケットでの起こりうる障害>

OIVのメンバー国は、OIVが様々な国に制限値をひろめることに同意した。この数値は、
国際マーケットにおける可能性のある障害を防ぐわけではない。なぜなら、国は常に、
残留農薬を理由にして輸入制限を行うことが出来るからだ。


IFVは2003年に、ワインにおけるOIVの制限値を提案した。OIVの副代表でIFVの
技術部門長であるJean-Luc Berger氏は「OIVレベルにおいてワインの制限値を認可して
もらうように努めた、しかし特にオーストラリアの代表は反対した。彼らの意見は、
もし制限値が規定されたら、輸入国から分析値の要求を引き起こす要因となり、分子の存在数が
多ければ多いほど分析費用ははねあがってしまう、というものだった。私としては、OIVで
ワインの制限値のための議論を起こす為にPan Europeの研究結果の反響から方針を
引き出したい。これはまたヨーロッパレベルでも期待されうるものだ」と言う。


ソース Viti−Net(4/24)
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